公表内容
事案の内容:本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク(以下「原告」という。)が、電気通信事業等を目的とするKDDI株式会社(以下「被告」という。)に対し、被告が不特定かつ多数の消費者との間で、携帯電話利用サービス契約を締結する際に現に使用しており、今後も使用するおそれのある、消費者が2年間の定期契約(以下「本件定期契約」という。同契約は、契約期間の満了日の翌日に自動的に更新される。)を契約期間の途中に解約する際に、一定の場合を除き、被告に9,975円の解約金を支払うことを定める契約条項(以下「本件解約金条項」という。)は消費者契約法(以下「法」という。)第9条第1号及び第10条により無効であるとして、当該条項の内容を含む契約締結の意思表示の差止めを求めた事案の控訴審である。 原判決(平成24年7月19日付け京都地方裁判所が言渡し)は、法第9条第1号に定める平均的損害の算定について、1か月当たりの被告の解約に伴う逸失利益は、本件定期契約における1契約当たりの1か月の売上を表す数値から算定される5,000円から、中途解約に伴い被告が支出を免れる費用等に相当する同金額の20%を控除した4,000円であり、これに解約時から契約期間満了までの期間を乗じた額が、解約に伴い被告に生じる平均的損害となるとし、本件解約金条項について、当該平均的損害額を超過する解約金の支払義務を定める部分は、法第9条第1号により無効である等と判断し、原告の請求を一部認容した。 原告及び被告はこれを不服とし、被告は平成24年7月26日付けで、原告は平成24年7月30日付けで大阪高等裁判所に控訴した。 結果:大阪高等裁判所は、平成25年3月29日、以下のとおり、原告の控訴を棄却し、被告の控訴に基づき、原判決中、被告敗訴部分を取消し、原告の請求を棄却した。 平成26年12月11 日、最高裁判所は上告受理の申立てについて、受理すべきとは認められない旨の決定をし、控訴審判決が確定した。 当該裁判の主たる争点:①本件解約金条項が法第9条第1号により無効であるかどうかについて、本件解約金条項が、「解除に伴う損害賠償の額の予定」又は「違約金」に該当するとした上で、法第9条第1号は、債務不履行の際の損害賠償請求権の範囲を定める民法第416条を前提とし、その内容を定型化するという意義を有するから、同号の損害は、民法第416条にいう「通常生ずべき損害」であり、逸失利益を含むと解すべきであるとし、また、平均的な損害の算定方法については、当該条項すなわち契約に定められた解除事由、時期等により同一の区分に分類される同種の契約における違約による損害の平均値を求めることによって算定すべきであり、当事者が設定した区分を裁判所がさらに細分化することを認める趣旨とは解されないとした。 そして、本件定期契約は、2年間の期間の定めのある契約であり2年間継続して使用されることを基本的条件として、基本使用料、通話料等が設定されているものと認められるところ、本件解約金条項は、2年間という期間を一つの区分とし、その契約が解除されたことによる損害をてん補するものは本件解約金条項のほかにはないということができるとし、平均的な損害の算定の基礎となる損害額について、本件定期契約が中途解約されることなく契約が期間満了時まで継続していれば被告が得られたであろう通信料収入等(解約に伴う逸失利益)を基礎とすべきとした。 具体的には、1か月当たりの被告の解約に伴う逸失利益は本件定期契約における1契約当たり1か月の売上を表す数値から算定される5,000円が相当であり、これに解除に伴い被告が支出を免れる経費である同金額の20%相当額を控除し、1か月当たりの平均的損害を4,000円と認め、これに2年間の契約期間から本件定期契約を中途解約した契約者の平均解除時期を控除した残余期間である12.41か月を乗じた49,640円が、本件の平均的損害に当たると解すことができるとした。なお、このような平均的損害の算定方法は、更新前後で同様であると解するとした。 ②本件解約金条項が法第10条により無効であるかどうかについては、まず、法第10 条前段の該当性につき、民法等の「法律の公の秩序に関しない規定」は、明文の規定のみならず、一般的な法理等も含まれることを前提とし、民法は、委任・準委任及び請負等の役務の提供を給付内容とする契約において、役務の提供を受ける者が、役務の提供者に生じる損害をてん補する限り、不必要となった役務の受領を強いられることはないという一般法理を定めていると解されるとした上で、本件解約金条項は、解約に伴い被告に生じる損害の有無及びその多寡にかかわらず、一律に一定の金員の支払義務を契約者に課す点において、解約に伴い相手方に生ずる損害の限度で、損害賠償請求権を認める民法の一般法理と比較して、消費者の権利を制限し、義務を加重するものであるとして、法第10 条前段に該当するとした。 また、法第10条後段該当性については、本件定期契約において、社会通念上著しい長期間にわたって解約を制限するものではなく、解約金が法第9条第1号の平均的な損害を超えるものでないこと、契約者は、通常契約と比較した上で、本件定期契約を選択することができ、しかもその場合基本使用料割引の利益を受けられることからすると、本件解約金条項が、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であるとはいえず、法第10条後段に該当しないとした。なお、本件定期契約の更新は、新規の契約締結と同様の効果を有するものであるから、更新後においても、本件解約金条項が法第10条後段に該当することはないとした。
- Classification
- 中立的な公的活動
- Record nature
- 中立的な公的活動
- Event type
- consumer_injunction_publication
- Event date
- 2014年12月11日
- Announced
- 未収録
- Effective from
- 未収録
- Effective to
- 未収録
- Record status
- 終了
- Status as of
- 未収録