公的活動2014年12月10日

消費者支援機構福岡と株式会社LIXILの判決について

株式会社LIXIL

消費者庁・公式記録ID case-235-1

公表内容

事案の内容:本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援機構福岡(以下「原告」という。)が、有料老人ホームや高齢者専用住宅の運営等を業とする株式会社LIXIL(以下「被告」という。)に対し、被告が運営する福岡市所在の施設(以下「本件施設」という。)への入居契約における、①入居一時金の一部(20%相当額)を非返還対象とする旨の条項、及び②入居一時金の償却期間を180か月(15年)とする旨の条項(以下、①の条項を「本件初期償却条項」、②の条項を「本件償却期間条項」、これらを併せて「本件契約条項」という。)は、消費者契約法(以下「法」という。)第10条に該当して無効であるとして、本件契約条項を含む意思表示の差止め等を求めた事案である(平成25年4月12日付けで福岡地方裁判所に訴えを提起。判決後、原告は福岡高等裁判所に控訴している。)。 結果:福岡地方裁判所は、平成26年12月10日、下記記載の当該裁判の主たる争点について、それぞれ以下のとおり判断し、原告の請求を棄却した。 当該裁判の主たる争点:① 本件契約条項(入居一時金について、非返還対象分を定める旨の本件初期償却条項及びその余の部分の償却期間を、年齢にかかわらず一律180か月とする旨の本件償却期間条項)の法第10条前段該当性(消費者の権利を制限し、又は義務を加重するか否か)及び同条後段該当性(民法の信義則の規定に反して、消費者の利益を一方的に害するか否か) ② 法第12条第3項の差止請求の前提として、被告において、本件施設の入居契約を締結するに際し、本件契約条項を含む意思表示を行うおそれがあるといえるか否か ア 争点②について(本件契約条項の使用のおそれについて) 被告が、本件契約条項について、将来にわたってこれらの条項を一切使用すべき状況にはないと主張し、裁判所に対し、本件契約条項の法第10条該当性の判断を求めるというのであるから、本件訴えに係る法第12条第3項の差止請求権の行使の可否を判断するに当たっては、被告に本件契約条項を含む意思表示を行うおそれがあるものと認めるのが相当である。 ただし、有料老人ホームの届出以降、入居契約書のひな形を改訂しており、老人福祉法第29条6項に違反して、権利金名目で初期償却部分の取得を説明することは考えがたいことから、本件初期償却条項については、その意思表示を行うおそれは認められない。イ 争点①について(本件契約条項の法第10条該当性について)〔本件初期償却条項について〕 入居契約の内容から、入居一時金は、入居者が、本件施設の居室等を原則として終身にわたって利用し、各種サービスを受け得る地位を取得するための対価であったというべきである。そして、入居一時金の中には、償却期間である15年を想定居住期間とする居室の家賃相当額及びサービス等の利用料金の前払部分と、契約が入居者の終身にわたり継続することを定額で保証するための対価的要素(多数の入居者が入居時に同一割合の負担をすることで、そのうちの誰が15年を超えて継続したとしても新たな負担を生じさせないという、いわば相互扶助的な要素であり、初期償却される額は将来に備える保険の保険料に類似する性格を持つ)及び将来において隣接介護付有料老人ホームに優先的に入居する権利ないし機会を確保するための対価的要素があり、後者(2つの対価的要素)が本件初期償却条項により償却される部分と解するのが相当である。 したがって、本件初期償却条項により入居者が負担する金銭は、上記意味における対価を得るための支払といえるから、民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定、すなわち任意規定による場合に比し、消費者たる入居者の権利を制限し又は義務を加重するものとはいえず法第10条前段に該当しない。〔本件償却期間条項について〕 本件施設のように入居者が終身の利用を前提として入居する場合において、一定期間の家賃相当額等の前払いの意味合いでの入居一時金を定めるに当たり、当該入居者の入居時の年齢に応じた平均余命をもって前払いが必要な期間と定めるべき(その余は無償ないし初期償却条項による支払とすべき)であるとの規定が民法の適用上、条理上、又は契約に関する一般法理上、導き出せるものとは考えられず、上記のような一律180か月の本件償却期間条項が消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重するものとはいえず法第10条前段に該当しない。

Classification
中立的な公的活動
Record nature
中立的な公的活動
Event type
consumer_injunction_publication
Event date
2014年12月10日
Announced
未収録
Effective from
未収録
Effective to
未収録
Record status
終了
Status as of
未収録