公表内容
事案の内容:本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援機関西(1審原告)が、貸金業を営む事業者であるニューファイナンス株式会社(1審被告)に対し、早期完済違約金条項(利息付金銭消費貸借契約の借主(以下、「借主」という。)が期限前に貸付金の全額を返済する場合に、借主が利息及び遅延損害金以外の金員を貸主に交付する旨を定める契約条項)を使用し、又は使用するおそれがあるとして、①当該契約条項を含む契約の締結の停止、②当該契約条項を含む借用証書の用紙の廃棄を認めた事案の控訴審において、判決の言渡しがなされたものである。 本件で問題となった早期完済違約金条項には、借主が貸付金の返済期限が到来する前に、貸付金を全額を返済する場合に(期限の利益を喪失したことによる返済を除く)、返済時までの期間に応じた利息以外に返済する残元金に対し割合的に算出される金員を貸主に対し交付する旨を定める契約条項(本件条項A)と、借主が期限の利益を喪失し、貸付金の残元金を直ちに返済すべき義務が発生した場合に、返済時までの期間に応じた利息及び遅延損害金以外に返済する残元金に対して割合的に算出された金員を貸主に対し交付する旨を定める契約条項(本件条項B)があった。 原審では、本件条項Aについて、①当該契約条項を含む契約の締結の停止、②当該契約条項を含む借用証書の用紙の廃棄を認めたが、本件条項Bについて、請求を棄却した。双方がそれぞれの敗訴部分を不服として控訴した(平成21年4月27日に1審被告が、平成21年5月2日に1審原告が、大阪高等裁判所に対して控訴。)。 結果:大阪高等裁判所は、平成21年10月23日、以下のように理由を修正したうえで、原審の結果を支持し、1審原告及び1審被告の各控訴をいずれも棄却した。 平成23年11月30日、最高裁は1審被告の上告受理申立を受理しない旨の決定をし、1審原告の差止請求を認めた京都地方裁判所判決(平成21年4月23日)が確定した。 当該裁判の主たる争点:大阪高等裁判所は、本件条項Aが利息付金銭消費貸借契約における民法・商法に定める消費者の義務を加重するかについて、「本件条項Aは、同条項を含んだ金銭消費貸借契約が利息制限法所定の制限を超える利率を定めるものである場合には、期限前弁済をした借主に借主が実際に利用することが可能な貸付額とその利用期間とを基礎とする利息制限法所定の制限内の利息以外の金銭の支払を義務づけるものであり、民法又は商法の規定による消費者の義務を加重するものであるとともに、強行規定である利息制限法に違反するものとして無効となるというべきである。なお、このことは、たとえ早期完済特約金の金額を利息制限法の範囲内に限定する旨の条項を設けたとしても、同様である」とした上で、「他方、本件条項Aを含む金銭消費貸借契約が利息制限法所定の制限内の利率を定めるものである場合においては、貸主は、期限前弁済がされた場合において、期限までの利息を取得することが許される。したがって、本件条項Aが民法又は商法の規定に比し消費者の義務を加重するものであるか否かは、借主が借入れから期限までの期間に対応する約定の利率による利息を超える金銭を負担する結果となるかどうかによって判断すべきところ、本件条項Aが適用される場合には、当該金銭消費貸借契約における利率や期限の定め、期限前弁済がされた時期や元本額等によっては、借主は、借入れから期限までの期間に対応する約定の利率による利息を超える金銭を負担する結果となる可能性があるのみならず、借入れから期限前弁済までの期間に対応する利息制限法所定の制限利率による利息を超える金銭を負担する結果となる場合もあり得ることが認められる。したがって、本件条項Aを含む金銭消費貸借契約が利息制限法所定の制限内の利率を定めるものである場合においても、他の契約条項又は本件条項Aが適用される具体的状況によっては、同条項は、民法又は商法の規定に比し消費者の義務を加重するものであると認められる。」とした。 また、本件条項Aが消費者の義務を加重する場合にそれが信義則に反して消費者の利益を一方的に害するかについて、「1審被告は、約定日ごとに利息と元金最低支払額又は随意の元金を支払い、最終弁済日までに残元金を完済する方式を自由返済と称し、これを1審被告における金銭消費貸借契約の特色として宣伝しており、実際に本件条項Aを含む金銭消費貸借契約を締結した事例においても、弁済方式を自由返済としていることが認められるが、本件条項Aのような早期完済違約金条項は、上記の自由返済の概念とは必ずしも整合せず、このような契約条項は消費者をいたずらに混乱、困惑させるものであるといわざるを得ない。このように考えると、本件条項Aは、仮に同条項を含む金銭消費貸借契約が利息制限法所定の制限の範囲内の利率を定めるものである場合にも、これが民法又は商法の規定に比し消費者の義務を加重するときは、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものとして、消費者契約法10条により無効となると評価せざるを得ない」とした。 以上を踏まえたうえで、本件条項Aが使用された消費者契約の貸付利率等いかんによっては消費者の義務を加重する場合もあると考えられる場合に法12条3項による差止めを求めることができるかにつき、大阪高等裁判所は、「本件条項Aは、同条項を含む金銭消費貸借契約が利息制限法所定の制限を超える利率を定めるものである場合には、法10条をまつまでもなく、利息制限法に違反するものとして無効であるが、かかる場合であっても、同条項が民法又は商法の規定に比し消費者の義務を加重するものであることに変わりはないから、法12条3項による差止めの対象となるというべきである。」としたうえで、「本件条項Aを含む金銭消費貸借契約が利息制限法所定の制限を超える利率を定めるものである場合には、本件条項Aは無効となるところ、…1審被告は、他にも不特定多数の消費者との間で利息制限法所定の制限を超える利率で貸付を行っていたことが認められるから、今後も、少なくとも出資法所定の上限利率が利息制限法所定の制限利率に引き下げられるまでの間は、1審被告が利息制限法所定の制限を超える利率を定める金銭消費貸借契約を締結する蓋然性は高いと考えられ、本件条項Aの使用を差し止めるべき必要性は高い。また、仮に本件条項Aを含む金銭消費貸借契約について利息制限法所定の制限の範囲内の利率が定められたとしても、他の契約条項又は本件条項Aが適用される具体的状況によっては、前記のとおり同条項が無効となる場合があるところ、消費者にとって無効となるかどうかの判断は極めて困難である上、同条項は自由返済との関係について消費者を混乱、困惑させるものとなっており、このような契約条項が不特定多数の消費者との間で用いられることは、法3条が事業者に消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮すべき旨を定めている趣旨に照らし相当でない。そうすると、本件条項Aについては、限定を付することなく、一般的にその使用を差し止めるのが相当である。」とした。 本件条項Bについては、「1審被告が借用証書の書式を改訂したのは、平成19年12月19日に貸金業法等改正法による改正後の貸金業法及び同法施行規則が施行されたのに対応して、書式を変更する必要に迫られたためであることが認められる」とし、「1審被告による契約書式の改訂が一時的なものではなく、法令の改正に伴う確定的なものであると考えられること、1審被告が遅延損害金について利息制限法4条が有効と認める年率を採用する可能性があることをうかがわせる証拠はないこと・・・からすれば、1審被告が本件条項Bを含む契約条項を再度使用する蓋然性が客観的に存在しているとはいい難く、1審原告の主張は採用できない。」とした。
- Classification
- 中立的な公的活動
- Record nature
- 中立的な公的活動
- Event type
- consumer_injunction_publication
- Event date
- 2011年11月30日
- Announced
- 未収録
- Effective from
- 未収録
- Effective to
- 未収録
- Record status
- 終了
- Status as of
- 未収録