公表内容
事案の内容:本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者機構日本(以下「原告」という。)が、英語に関する教育事業等を目的とする株式会社MOMOX(以下「被告」という。)に対し、被告が消費者との間で締結する会員契約の利用規約に含まれる以下の条項(以下「本件各条項」という。)は、消費者契約法(以下「法」という。)第8条第1項第1号ないし第4号、第9条第1号及び第10条(※)に規定する消費者契約の条項に該当してその効力が否定されるものであるとして、法第12条第3項の規定に基づき、本件各条項に係る意思表示の差止め及び本件各条項が記載された契約書等の破棄を求めるとともに、これらについての被告従業員に対する周知徹底を必要な措置として求めた事案である(令和3年9月15日付けで東京地方裁判所に訴えを提起)。 <本件各条項>① 別紙1の6条3項、7条なお書き及び14条3項並びに別紙2の2条5項、6条3項、7条なお書き及び14条4項のような、サービスの利用停止、解除、会員資格の抹消又は退会の時期にかかわらず、一度納入した金銭については一切返還しない旨の条項。② 別紙1及び2の13条8項のような、被告の重過失による債務不履行あるいは不法行為に基づく損害賠償責任の一部を免除する旨の規定。③ 別紙1の14条6項及び別紙2の14条7項のような、金銭支払後のキャンセルを認めない旨の規定。④ 別紙1及び2の6条2項のような、被告の損害賠償責任の全部を免除する条項として機能し、また、会員が支払済みの金銭の返還請求権を抹消する規定。⑤ 改訂後の新14条4項のような、支払済みの入会金を一切返金せず、入会金を除く支払済みの金額については、法令の定め又は被告が認める理由がある場合を除き返金しない旨の規定。(※)消費者契約法(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項 二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部を免除する条項 四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項2 〔略〕(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。 一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分 二 〔略〕 (消費者の利益を一方的に害する条項の無効)第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。 (注)上記の訴えが提起された日現在の規定 結果:東京地方裁判所は、令和4年10月26日、次のとおり判断して、原告の請求をいずれも棄却した(令和4年11月12日判決確定)。 当該裁判の主たる争点:ア 主たる争点 ⅰ)被告は、本件各条項に係る意思表示を「現に行い又は行うおそれがある」(法第12条第3項)といえるか。 ⅱ)上記①の各条項の法第9条1号該当性 ⅲ)上記②の各条項の法第8条第1項第1号ないし第4号該当性 ⅳ)上記③の各条項の法第10条該当性 ⅴ)上記④の各条項の法第8条第1項第1号及び3号並びに第9条第1号該当性 ⅵ)上記⑤の条項の法第9条1号及び第10条該当性 イ 主たる争点についての裁判所の判断の概要 【争点ⅰ】 法第12条は、少額でありながら高度な法的問題をはらむ紛争が拡散的に多発するという消費者取引の特性に鑑み、同種紛争の未然防止・拡大防止を図って消費者の利益を擁護することを目的として、一定の要件を満たした適格消費者団体が、事業者による不当な行為を差し止めることができる旨を規定する。そして、「現に行い又は行うおそれがあるとき」(法第12条第3項)とは、その文理及び上記のような同条の趣旨に照らし、当該事業者により現実に差止請求の対象となる行為がされている場合のほか、当該事業者により当該行為がされる蓋然性が客観的に存在している場合をいうものと解される。 本件において、被告は、本件各条項を削除又は変更し、令和4年6月30日改訂の各利用規約には、本件各条項はいずれも含まれていない。そして、その後に被告が、本件各条項を含む会員契約を締結したといった事情はうかがわれず、むしろ、被告は、公開の法廷において本件各条項に係る意思表示を行うつもりはない旨明言している。 以上から、現時点において、被告が本件各条項を含む利用規約を使用していると認められないばかりでなく、被告が今後、本件各条項を含む利用規約を用いて意思表示をする蓋然性が客観的に存在していると認めることもできないから、被告は、本件各条項に係る意思表示を「現に行い又は行うおそれがある」ということはできない。 【争点ⅱないしⅵ】 上記のとおりであるから、争点ⅱないしⅵについては判断の必要がない。
- Classification
- 中立的な公的活動
- Record nature
- 中立的な公的活動
- Event type
- consumer_injunction_publication
- Event date
- 2022年11月12日
- Announced
- 未収録
- Effective from
- 未収録
- Effective to
- 未収録
- Record status
- 終了
- Status as of
- 未収録