公的活動2012年3月28日

京都消費者契約ネットワークと株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモの判決について

株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ

消費者庁・公式記録ID case-76-1

公表内容

事案の内容:本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク(以下「原告」という。)が、携帯電話利用サービスの提供等を業とする株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下「被告」という。)に対し、被告が不特定かつ多数の消費者との間で、携帯電話利用サービス契約を締結する際に現に使用しており、今後も使用するおそれのある解約金に関する条項(契約期間を2年間の定期契約とした上で、基本料金を通常の契約の半額とし、この期間内に消費者が解約をする場合には、死亡に伴う場合等一定の例外を除き被告に9,975円の解約金を支払わなければならないとする条項、及び契約締結から2年が経過すると自動的に更新され、以後、消費者は、本件契約を解約するに際して、更新時期となる、2年に1度の1か月間に解約を申し出ない限り、9,975円の解約金を被告に支払わなければならないとする条項。以下「本件解約金条項」という。)は消費者契約法(以下「法」という。)第9条第1号又は第10条に該当して無効であるとして、当該条項の内容を含む契約締結の意思表示の差止めを求めた事案である(平成22年6月16日付けで、京都地方裁判所に対して訴えを提起)。 結果:京都地方裁判所は、平成24年3月28日、以下の理由により原告の請求を棄却した。 当該裁判の主たる争点:①本件解約金条項についての法による規制の可否 ②本件解約金条項の法第9条第1号該当性 ③法第10条前段における「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定」の解釈 ④本件解約金条項の法第10条前段該当性 ⑤本件解約金条項の法第10条後段該当性 争点①について、被告が本件解約金条項は実質的には被告の消費者に対するサービス提供の対価の金額を設定したものであるから、法の規制外であると主張したのに対し、契約の目的である物又は役務の対価についての合意が法第9条又は第10条により無効となることはないことを認めつつも、文言などからして本件解約金条項は契約上の対価についての合意ということはできず、契約期間内の中途解約時の損害賠償の予定又は違約金についての条項であると認められるから、法第9条第1号及び第10条による規制が及ぶとした。 もっとも、争点②について、法第9条第1号の「平均的な損害」の算出は、事業者に生じる損害の額について契約の類型ごとに行うものと解すべきであるとし、その類型は原則として事業者が損害賠償の予定又は違約金についての条項を定めた類型を基礎とすべきであって、本件における「平均的な損害」の算定については、本件解約金条項が規定された携帯電話利用サービス契約を締結した顧客を一体のものとみて判断すべきであるとした上で、その金額を、基本使用料金の割引分の契約期間開始時から中途解約時までの累積額の平均である30,240円と認定し、本件解約金条項に基づく解約金9,975円はこれを下回るから、本件解約金条項は法第9条第1号に該当しないとした。そして、更新後の解約金条項についても、「平均的な損害額」は30,240円であると認められるとして、法第9条第1号に該当するということはできないとした。 また、争点③について、法第10条前段における、民法等の「法律の公の秩序に関しない規定」は、明文の規定のほか、一般的な法理等をも含むと解すべきであるとした上で、争点④について、携帯電話利用サービス契約は役務提供型の無名契約であると認められるところ、民法は役務提供型の契約である委任契約等ついては、役務の提供を受ける者がいつでも契約を一方的に解除することができると規定している。この背景には役務の提供を受ける者がもはや役務の提供を受けることが不要となったにもかかわらず、受領を強いられるのは妥当ではなく、役務の提供を受けるものに対して一方的な解約権を付与することによって、役務の提供を受ける者をこのような事態から解放し、それによって経済的な不効率を回避するという考え方が存在するといえ、このような考え方は役務提供型の契約に一般的に存在する法理であって、同法理は法第10条前段の「公の秩序に関しない規定」に該当するといえる。委任契約等が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときに限って損害賠償義務を課していることに比べ、本件解約金条項は、中途解約をする消費者に対し、常に一定の金額の支払義務を課すものであることからすると、本件解約金条項は、上記「公の秩序に関しない規定」に比較して消費者の権利を制限し、消費者の義務を加重しているというべきであるとした。 しかし、争点⑤について、消費者は本件解約金条項に基づき解約権の制限を受けるものの、そのことに見合った対価を受けており、制限の内容についても何ら不合理なものではなく、しかも、被告と消費者との間には、本件解約金条項に関して情報の質及び量並びに交渉力の格差が存在するということはできないから、本件解約金条項は、法第10条後段には該当しないとした。そして、この点は更新後の解約金条項についても同様であるとした。

Classification
中立的な公的活動
Record nature
中立的な公的活動
Event type
consumer_injunction_publication
Event date
2012年3月28日
Announced
未収録
Effective from
未収録
Effective to
未収録
Record status
終了
Status as of
未収録