公表内容
事案の内容:本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク(以下「原告」という。)が、婚礼及び披露宴に関する企画及び運営等を業とする株式会社Plan・Do・See(以下「被告」という。)に対し、被告が消費者との間で挙式披露宴実施契約を締結する際に現に使用し又は今後使用するおそれのある、当該契約の解除時に消費者が負担する金銭(以下「本件キャンセル料」という)に関する条項(以下「本件キャンセル料条項」という。)が、消費者契約法(以下「法」という。)第9条第1号所定の平均的な損害の額を超える損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるものであるから、当該超える部分は無効であるとして、法第12条第3項の規定に基づき、本件キャンセル料条項を内容とする意思表示の差止め及び同条項が記載された契約書用紙の破棄を求めた事案である(平成23年10月11日付けで京都地方裁判所に訴えを提起)。 結果:京都地方裁判所は、平成26年8月7日、以下のとおり原告の請求を棄却した。 当該裁判の主たる争点:ア 本件キャンセル料条項のうち、申込金の全部又は一部を本件キャンセル料とする旨を定めた部分が法第9条第1号の規制対象となるか。(争点1) イ 本件キャンセル料は、法第9条第1号所定の「平均的な損害の額」を超えるか。(争点2) なお、争点2は、更に次の2つに分けられる。 ① 本件契約の解除に伴い被告に生ずべき平均的な損害(以下「本件平均的損害」という。)に、本件契約の解除による逸失利益(以下「本件逸失利益」という。)が含まれるか。 ② 本件キャンセル料が損益相殺後の本件逸失利益を超えるか。〔争点1について〕 被告は、申込金は希望する開催日時に挙式披露宴を行う権利を確保したことの対価(権利金)であって、本件契約の解除によって返還すべき性質のものではなく、法第9条第1号の規制対象とならない旨を主張したが、裁判所は、本件キャンセル条項の記載から本件キャンセル料条項のうち申込金だけが特殊な扱いをされているとは見受けられないこと、消費者が希望する挙式披露宴の開催日時を確保しようとして本件契約を締結することが広く行われているなどの事実関係を認めるに足りる証拠はないことから、本件キャンセル料条項は、申込金の全部又は一部をキャンセル料と定めた部分を含めその全体が法第9条第1号の規制対象となるとした。〔争点2①について〕 事業者は、契約の相手方である消費者に債務不履行があった場合には、民法第416条の規定に基づき、これによって通常生ずべき損害の賠償を請求することができるところ、この「通常生ずべき損害」の中には、逸失利益が含まれるものと解される。法第9条第1号は、契約の解除に伴う損害賠償の額の予定等について規制するものであるが、解除に伴う損害賠償の場合について、上記債務不履行に基づく損害賠償の場合と別異に解する理由はないから、法第9条第1号所定の「平均的な損害」には、逸失利益が含まれるというべきであり、本件平均的損害には、本件逸失利益が含まれる。 この点、原告は、少なくとも開催日の90日前以前においては、未だ本件契約の内容が具体化しておらず、被告が利益を期待し得るような状況にないこと、その段階での解除であれば、被告は十分に再販売によって代替的な利益を確保することが可能であることから、開催日の90日前以前に契約が解除された場合は、本件平均的損害に本件逸失利益は含まれないと主張した。しかし、裁判所は、開催日の90日前以前であっても、少なくとも解除時見積額に見合うだけの本件契約の内容が具体化しているとみられるし、再販売によって代替的な利益を確保することができるとしても、それは損益相殺により損害が減少するにすぎず、逸失利益自体がそもそも発生しないと解することはできないとして、原告の主張は採用されなかった。〔争点2②について〕 本件逸失利益は、本件契約が解除されなかったとした場合に得べかりし利益であるところ、その算定は、サービス料を含む解除時見積額(サービス料も上記得べかりし利益であることに変わりはない。)に、被告における本件契約に係る粗利率を乗じることで行うのが合理的である。 損益相殺については、解除された本件契約のうち、再販売があったものについては損益相殺がされたものと認められ、その額は「解除時見積額の平均×粗利率×再販率」の計算式により算定されるべきである。 したがって、本件平均的損害である損益相殺後の本件逸失利益は、本件キャンセル料条項所定の期間ごとに、以下の計算式により算定するのが相当である。(計算式) 本件平均的損害=本件逸失利益-損益相殺すべき利益 =(解除時見積額の平均×粗利率)-(解除時見積額の平均×粗利率×再販率) =解除時見積額の平均×粗利率×(1-再販率) =解除時見積額の平均×粗利率×非再販率 これによると、本件キャンセル料は、(開催日当日の解除の場合を除き)損益相殺後の本件逸失利益を下回っていることが認められる。また、開催日当日の解除の場合には、解除時見積額の全額を本件キャンセル料としても、これが本件平均的損害の額を超えるとは認められない。 したがって、本件キャンセル料条項は法第9条第1号により無効となる部分を含むものとはいえない。
- Classification
- 中立的な公的活動
- Record nature
- 中立的な公的活動
- Event type
- consumer_injunction_publication
- Event date
- 2014年8月7日
- Announced
- 未収録
- Effective from
- 未収録
- Effective to
- 未収録
- Record status
- 終了
- Status as of
- 未収録