公表内容
事案の内容:本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者市民ネットとうほく(以下「消費者市民ネットとうほく」という。)が、火災報知器・消火器のフランチャイズチェーンシステムによるリースショップの経営等を目的とする株式会社防災センター(以下「防災センター」という。)に対し、防災センターが消費者を相手方として締結するパッケージリース契約(以下「本件契約」という。)に含まれる次の契約条項(以下「本件契約条項」という。)は、消費者契約法(以下「契約法」という。)第8条第1項第1号、第9条第1号及び第10条(※2)並びに特定商取引に関する法律(以下「特商法」という。)第10条第1項第3号及び第4号(※2)に違反して無効であり、また防災センターの勧誘行為のうち本件契約の締結を必要とする事情に関する事項又は本件契約に関する事項であって、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき不実のことを告げる行為が特商法第58条の18第1項第1号ハに該当し、商品の種類及びその性能若しくは品質につき、故意に事実を告げない行為が特商法第58条の18第1項第2号に該当するとし、さらに本件契約が全国一有利である旨の表示及び本件商品の点検等を無料とする旨の表示(以下「本件表示」という。)が不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という。)第30条第1項第2号(※3)に定める有利誤認に該当し、本件商品が高級ブランド品である旨の表示が景表法第30条第1項第1号に定める優良誤認に該当するとして差止めを求めた事案である。 原判決(仙台地方裁判所が令和3年3月30日に言渡し)が、消費者市民ネットとうほくの請求を一部容認したところ、防災センターが敗訴部分につき控訴し、消費者市民ネットとうほくが附帯控訴した(以下防災センターを「控訴人」、消費者市民ネットとうほくを「被控訴人」という。)。 <本件契約条項>パッケージリース契約条項①第1条(契約の成立・個人保証附帯・連帯債務・パッケージ保守契約書) 4、(戊の連帯責任)甲の有権代理人として署名をした「戊」はリース料金等が遅延したことを停止条件として連帯債務の責任が発生します。第4条(受領期限・パッケージリース物件申込書④・物件受領義務) 4、甲は、本物件を引き渡され受領するときは注意義務を負い、目録通り引き渡され甲が承認し受領したときはその後異議の申立ができません。 5、甲は、乙からの物件提供を受けて受領しない場合に於いても、本契約書規定のリース料支払を認めます。(第7条・第11条関連)第5条(物件維持管理責任・保守整備委託) 甲は本物件の使用に当たり善良なる管理者として監督官公庁の法律・規則に従うこととし本物件の機能・有効性の維持管理責任を負います。故に甲は整備保守を国家資格免状取得者等に委託し本物件を正しく正常に保ち使用します。第7条(物件の滅失・毀損・紛失・法改正失効) 甲は、本物件の返還迄に生じた滅失、紛失、法改正による失効等に伴う各損害を負担します。第10条(停止条件付) 甲は、乙が採択する下記「契約型①」と「契約型②」の契約型を認めます。(民法第127条1項・停止条件) 2、「契約型①」の法律行為は、乙自身が本契約書リース物件貸主を担当する場合です。この場合の契約当事者は甲乙間となります。 3、「契約型②」乙は、乙が採択する第三者リース会社へ本目的物所有権を譲渡し目的物販売会社「丙」の立場となり、この場合の契約当事者は甲と第三者リース会社間になります。しかし、甲と第三者リース会社間の契約が不成立に至るとき停止条件が成就し契約型①が復活します。第13条(一括前払い・送料負担・消費税・保全費用) 2、リース料等の支払方法は「一括前払・月払」限りとし、表面本契約書料金に付き契約日から10日ころ「ご請求のしおり」及び〒郵便局払込票用紙をご送付します。甲は表面表記初回支払日から最終回支払日迄の全期間を送料甲負担で乙名義(郵便局払込取扱票口座番号●●●●)へ送金して支払います。又は銀行送金(乙名義・三菱東京UFJ銀行・八重洲通り支店・普通口座●●●●)とします。第16条(合意管轄・条項①②) 甲は紛争が生じた場合乙総務事務地管轄の横浜簡易又は横浜地方各裁判所とする合意管轄を認めます。パッケージリース契約条項②第11条(解約・自動更新・物件返還送料・中途清算・適用除外) 甲は本契約書の中途に於いて解約はできないものとします。 2、止むを得ず解約を申し出る場合リース料残余相当額を直ちに乙に支払い清算します(所有権が甲に移転しないリースです)。 4、甲は自動更新を採択しないとき期間終了3ケ月前迄に書留郵便を用い乙に通知します。(左の意思表示がないとき自動更新されます)第12条(期限の利益喪失・無催告解除・物件紛失・清算義務忌避・残余リース料清算・詐欺被害の救済・知的財産権賠償責任) 3、この場合乙が引き上げる又は保有している本物件について乙が「清算義務」を負わないことを認めます。また、甲は期限の利益を失って契約解除された場合、リース料残余相当額全額を甲の債務と認め直ちに一括して支払います。(第4条・第7条・11条関連)第13条(一括前払い・送料負担・消費税・保全費用) 5、甲は、乙が本契約書に生ずる権利の実行又は保全に要した費用及び甲乙間の紛争に関し、乙を代理する弁護士費用の一切を負担します。(※1)消費者契約法(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項 二~五 〔略〕2 〔略〕(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)第九条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。 一 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項 二 〔略〕(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。(※2)特定商取引に関する法律(訪問販売における契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限)第十条 販売業者又は役務提供事業者は、第五条第一項各号のいずれかに該当する売買契約又は役務提供契約の締結をした場合において、その売買契約又はその役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を購入者又は役務の提供を受ける者に対して請求することができない。 一・二 〔略〕 三 当該役務提供契約の解除が当該役務の提供の開始後である場合 提供された当該役務の対価に相当する額 四 当該契約の解除が当該商品の引渡し若しくは当該権利の移転又は当該役務の提供の開始前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額2 〔略〕(訪問販売に係る差止請求権)第五十八条の十八 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下この章において単に「適格消費者団体」という。)は、販売業者又は役務提供事業者が、訪問販売に関し、不特定かつ多数の者に対して次に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。 一 売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、次に掲げる事項につき、不実のことを告げる行為 イ 〔略〕 ロ 〔略〕 ハ 第六条第一項第六号又は第七号に掲げる事項 二 売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、前号イ又はロに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為 三 〔略〕2 〔略〕 (※3)不当景品類及び不当表示防止法第三十条 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下この条及び第四十一条において単に「適格消費者団体」という。)は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認される表示をすること。 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るも2・3 〔略〕 (注)上記の訴訟が提起された日現在の規定 結果:仙台高等裁判所は、令和3年12月16日、控訴人の控訴を棄却し、被控訴人の附帯控訴及び控訴審における請求の変更に基づく請求を全部認容する判決を下した。 令和4年6月3日に、それぞれ上告棄却及び申立て不受理の決定がされ、差止請求を認容した控訴審判決が確定。 当該裁判の主たる争点:ア 本件の争点 ⅰ)本件契約条項は契約法第8条ないし第10条により無効か。 ⅱ)本件契約条項が定める違約金は、特商法第10条第1項第3号及び第4号に違反するか。 ⅲ)控訴人は、本件契約を締結するに際し、特商法が定める故意の不実告知に該当する勧誘行為を行っていたか。 ⅳ)控訴人の表示内容は有利誤認表示又は優良誤認表示に該当するか。イ 控訴審における裁判所の判断の概要 1 契約法12条3項に基づく請求について ㈠ 原判決「事実及び理由」第6の2(1)~(5)、(7)の説示のとおり、控訴人らが本件契約条項において使用した契約条項のうち、11条1項の契約期間の途中での解約を制限する条項、11条2項及び12条3項後段の解約時に残余料金を一括して支払う条項、11条4項の契約を自動更新する条項、13条5項の控訴人らの権利の実行等に要する費用や弁護士費用を負担させる条項、10条1項ないし3項の契約当事者が契約後に決まるとする条項、4条4項、5項、5条及び7条の物件の受領、維持管理責任及び損害負担に関する条項は、契約法8条1項1号に規定する事業者の損害賠償責任を免除する条項又は同法10条に規定する消費者の利益を一方的に害する条項にあたる。 ㈡ 更に、上記契約条項のうち、1条4項の代理人として署名した者に連帯債務を負担させる条項は、何ら合理的な理由なく、民法の代理人の規定に比して消費者の義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であり、契約法10条により無効となる条項であると認められる。 また、13条2項は、リース料等の支払方法は、契約日から10日頃に送付する書面により知らせる旨の契約条項である。この契約条項は、特商法4条及び5条による書面の交付義務の要件を満たさない別紙1、2のパッケージリース契約書と題する契約書用紙や天秤と題する書面を交付して先に契約を締結させ、支払方法が通知された時には契約日から8日間のクーリング・オフ期間が徒過していると誤信させるための条項であると認められるから、特商法のクーリング・オフ制度による消費者の解約権の行使を実質的に制限することにより、消費者の権利を制限し、信義則に反し消費者の権利を一方的に害する条項であり、契約法10条により無効となるものである。 16条1項の専属管轄を定める条項も、民事訴訟法が定める管轄に比べて裁判を受けられる裁判所を限定し、民事訴訟法の規定に比べて消費者の権利を制限するものであって、控訴人らが、仙台市青葉区大町2-10―23所在の店舗を仙台支部と称し、控訴人らの顧客の多くが、仙台市内を中心とする宮城県に在住し、消火器の設置も宮城県内でされているにもかかわらず、横浜簡易裁判所又は横浜地方裁判所を専属管轄とするような専属管轄を定めることは、控訴人らの営業の実情に照らしても専属管轄を定めて消費者の権利を制限する合理的な理由が認められないから、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項にあたり、契約法10条により無効となる条項である。 ㈢ 上記のとおり本件契約条項は、いずれも前記のとおり契約法8条又は10条により無効となる条項が多数含まれ、これら関連する契約条項が全体として一体のものとして、消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項となり、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する契約条項となっているものと評価され、契約法10条により、前記契約条項全部が無効となるものである。 2 特商法58条の18第2項2号に基づく請求について 原判決「事実及び理由」第6の2(2)の説示のとおり、本件契約条項の契約条項のうち、11条2項及び12条3項後段の条項は、契約が解除されたときにリース料残余相当額を支払わなければならない旨を定めた特約であり、特商法10条1項3号及び4号の規定に反する特約である。 3 特商法58条の18第1項に基づく請求について 主文7項(2)の勧誘行為(控訴人らの提供する消火器が業務用消火器であるのに、その事実及び業務用消火器の特徴や住宅用消火器との違いを告げない行為)についても、業務用消火器の設置・使用ないし保守点検に関する継続的契約を締結するにあたっては、その消火器が業務用であるか住宅用であるかは、設置・使用や保守点検の方法や費用に相当影響を及ぼす重要な事項であるといえるが、控訴人らは、別紙1、2のパッケージリース契約書と題する契約書用紙や天秤と題する書面において、何ら説明をしておらず、前記引用の原判決認定のとおり、控訴人らは、契約締結の勧誘にあたり、業務用消火器が住宅用消火器と比較して価格が高く、重く、適切な保守点検がされないと有効に使用できない可能性があり、一般家庭には住宅用消火器の設置が推奨されていることを故意に説明していなかったことが認められる。 このように、業務用消火器のパッケージリース契約と称して、その設置・使用ないし保守点検に関する継続的契約の締結について勧誘するにあたって、控訴人らの提供する消火器が業務用消火器であるのに、その事実及び業務用消火器の特徴や住宅用消火器との違いを告げない行為は、役務の種類及びこれらの内容(特商法58条の18第1項1号イ)の不可欠な要素となるリース物件の種類及びその性質につき、故意に事実を告げない行為(同項2号)にあたるといえる。 4 景表法30条1項に基づく請求について 当裁判所も、原判決「事実及び理由」第6の4の説示のとおり、本件表示は、表示内容(2)(消火器が高級ブランド品である旨の表示)は、景表法30条1項1号に規定する優良誤認表示(役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手の相手方に著しく優良であると誤認される表示をすること)にあたり、表示内容(1)(全国一有利である旨の表示)と表示内容(3)(消火器の点検等を無料とする旨の表示)は、同項2号に規定する有利誤認表示(役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること)にあたると認める。ウ 結論 よって、当審における変更後の被控訴人の請求はすべて理由があるから、控訴人らの控訴を棄却し、被控訴人の附帯控訴及び当審における請求の変更に基づき、原判決を主文3項から9項のとおり変更して請求を全部認容する。
- Classification
- 中立的な公的活動
- Record nature
- 中立的な公的活動
- Event type
- consumer_injunction_publication
- Event date
- 2022年6月3日
- Announced
- 未収録
- Effective from
- 未収録
- Effective to
- 未収録
- Record status
- 終了
- Status as of
- 未収録