公的活動2019年6月14日

佐賀消費者フォーラムと株式会社平安閣エヌピーオー互助会との間の訴訟に関する判決について

株式会社平安閣エヌピーオー互助会

消費者庁・公式記録ID case-382-1

公表内容

事案の内容:本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人佐賀消費者フォーラム(以下「原告」という。)が、冠婚葬祭の互助会を運営する株式会社平安閣エヌピーオー互助会(以下「被告」という。)に対し、被告が不特定かつ多数の消費者との間で締結する、消費者が将来行う冠婚葬祭に備え、所定の月掛金を前払で積み立てることにより冠婚葬祭に係る役務等の提供を受ける権利を取得し、被告が当該消費者の請求により冠婚葬祭に係る役務サービス等を提供する義務を負うことを内容とする契約(以下「本件契約」という。)に適用される契約約款中、契約期間中に消費者が解約したときの返戻金額を支払済みの月掛金残高から所定の手数料を差し引いた金額とする旨の条項(以下「本件解約金条項」という。)は、消費者契約法(以下「法」という。)第9条第1号及び第10条(※)の規定に該当して無効であると主張して、法第12条第3項の規定に基づき、①解約時に支払済金額から解約金を差し引いて消費者に対し返金することを内容とする意思表示の差止め、②本件解約金条項が印刷された契約書ひな形の廃棄、並びに③①の内容の意思表示を行うための事務を行わないこと及び②の契約書ひな形を破棄すべきことを被告の従業員らに指示することを求めた事案である(平成28年12月5日付けで佐賀地方裁判所に対して訴訟を提起)。 (※)消費者契約法(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。 一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分 二 〔略〕(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)第十条 民法、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。(注)上記の訴訟が提起された日現在の規定 結果:佐賀地方裁判所は、令和元年6月14日、以下のように判断した上で、原告の請求を全て棄却した(原告は、同月26日付けで福岡高等裁判所に控訴した。)。 当該裁判の主たる争点:ア 主たる争点 ⅰ)本件契約の解約により生じる平均的な損害の額 ⅱ)本件解約金条項は法第10条の規定に該当し無効であるかイ 主たる争点についての裁判所の判断の概要【争点ⅰ】 ㈠ 法第9条第1号の「平均的な損害」について 法第9条第1号の「平均的な損害」とは、同一事業者が締結する多数の 同種契約事案について類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額を指し、具体的には、解除の時期等により同一の区分に分類される複数の同種の契約の解除に伴い、当該事業者に生じる損害の額の平均値をいうものと解される。 本件については、訴訟が提起された直前の1年間である基準年度(平成27年5月1日から平成28年4月30日までの期間をいう。以下同じ。)に生じた費用をもって、被告に生じる損害の額の平均値を算定することが可能である。㈡ 本件解約金条項所定の解約手数料が同種の契約の解約に伴い被告に生じる損害の額の平均値を上回るかについて ① 本件契約の性格について 本件契約によって、被告が結婚式や葬式といった具体的な役務サービ ス等を提供するのは、会員(被告との間で本件契約を締結した消費者をいう。以下同じ。)から請求があった後ではあるが、被告は、本件契約を締結することにより、会員から請求を受けた際に適切に役務サービス等を提供するための会員管理の業務(以下「会員管理業務」という。)を行うことになる。 また、本件契約は、各会員が、将来行う冠婚葬祭の際、多額の出費が必要となることに備えて、数千円程度の比較的少額な月掛金を前払する方法で積立てを行い、最終的には契約金額(積立金の合計金額)よりも高額な費用を要する儀式の施行を受けるというものである。現実に儀式を施行する時期は不確定であり、あらかじめ予測することが困難な場合も多い。そうすると、互助会を構成する会員が一定数確保され、会員からの積立金が蓄積されることにより、常時、その一部を利用して、契約金額を上回る金額の役務サービス等を当該会員に提供できる状態にあることが、互助会制度を維持していく上で不可欠となる。ところが、役務サービス等の提供は1回に限られるから、儀式の施行が終われば、原則として契約は終了するし、会員による中途解約、月掛金の延滞による契約の失効等によっても会員数は減少する。そうすると、被告は、会員に対し本件契約に基づく役務サービス等の提供を適切に履行するために、常時新規の会員を獲得する必要があり、そのための募集業務(以下「会員募集業務」という。)を行うとともに、会員数を維持するための措置を講じる必要があることになる。 ② 中途解約に伴う「平均的な損害の額」の算出方法について ①のとおり、被告は、役務サービス等の提供の請求を受ける前であっても、各会員に対し将来適切な役務サービス等を提供するために、会員の募集・管理に係る業務を行う必要があるところ、これについて被告が支出した費用は、会員が中途解約することで無駄なものとなるから、当該中途解約に伴う損害であると認められる。 ある期間中に支出された会員募集費用は、当該期間中に締結された新規の本件契約について生じたものと考えられるし、ある期間中に支出された会員管理費用は、当該期間中の契約総口数について生じたものと考えられるから、当該期間中の会員募集及び会員管理の費用をこれらで除することで、特定の中途解約に伴う平均的な損害を算出することが可能である。 ③ 被告の「平均的な損害の額」について 基準年度中に被告が支払った(1)会員募集業務に従事する従業員に係る人件費、(2)会員管理業務に従事する従業員に係る人件費、(3)会員募集業務の委託手数料、(4)会員募集業務及び会員管理業務に係る電話料、(5)会員募集業務及び会員管理業務に係る交通費等、(6)新規会員の募集のために作成された会報誌その他の書類の作成費用、(7)被告が会員募集業務及び会員管理業務のために用いる建物について支出した費用、(8)本件契約に関し割賦販売法第35条の3の62が準用する同法第18条の3の規定に基づき被告が前受金保全措置として締結した前受業務保証金供託委託契約に係る保証料、(9)多数に上る本件契約を適切に管理するためのコンピュータシステムの利用の費用、(10)完納通知費用等については、いずれも平均的な損害に含まれる。 被告が違約金や身元保証金として徴収した金員のうち、違約金については不適切な会員募集によって歩合給を獲得した者に対する制裁金として徴収されていると認められるのであり、これにより中途解約による損害が補填されているとは認められない。身元保証金については中途解約による損害の補填に充てられた事実は認められない。 ④ 本件解約金条項の定める解約手数料が「平均的な損害の額」を上回るかについて 本件で算定された本件契約を解約された場合の「平均的な損害の額」は、本件契約の3つのコース、いずれの払込時点等においても、本件解約金条項の定める解約手数料を上回っている。 したがって、本件解約金条項の定める解約手数料は、法第9条第1号 に定める「平均的な損害の額」を超えているとは認められない。【争点ⅱ】 本件解約金条項の定める解約手数料は、法第9条第1号に定める「平均的な損害の額」を超えているとは認められないから、本件解約金条項は、任意規定による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重するものとはいえない。【結論】 よって、原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとする。

Classification
中立的な公的活動
Record nature
中立的な公的活動
Event type
consumer_injunction_publication
Event date
2019年6月14日
Announced
未収録
Effective from
未収録
Effective to
未収録
Record status
終了
Status as of
未収録