「行政処分」と一括りに言っても種類は多く、影響範囲・公表のされ方・回復不能性が大きく異なります。本記事では、企業が受ける可能性のある主要な行政処分の種類を整理します。
1. 措置命令
定義: 法令違反を行った事業者に対して、違反行為の差し止めと再発防止策を命じる行政処分。
主な根拠法:
- 景品表示法(消費者庁)— 「優良誤認表示」「有利誤認表示」が対象
- 特定商取引法(消費者庁)— 通信販売・連鎖販売の不当勧誘が対象
- 不正競争防止法(経産省)
命令される内容:
- 違反行為の差し止め(広告の即時停止等)
- 違反事実の周知徹底(プレスリリース・サイト掲載・新聞広告)
- 再発防止策の実施と従業員教育
- 監督官庁への報告
影響: 取引先・株主・消費者に対する信用失墜大。社名公表される。
2. 課徴金納付命令
定義: 違反行為で得た不当利得を国に納付させる金銭的制裁。措置命令と並行して下されることが多い。
主な根拠法:
- 景品表示法 — 違反期間中の対象売上の 3%
- 独占禁止法 — カルテル・談合の違反期間売上の 10%(製造業)等
- 金融商品取引法 — インサイダー取引・有報虚偽記載の利得相当額
金額の規模: 数百万〜数十億円。違反期間と売上規模で大きく変動。
影響: キャッシュフロー・業績に直接的な打撃。上場企業の場合は適時開示対象。
3. 業務停止命令
定義: 一定期間、対象事業の業務を行うことを禁止する処分。
主な根拠法:
- 特定商取引法 — 訪問販売・通信販売・連鎖販売(最長3年)
- 薬機法 — 医薬品販売業(最長1年)
- 宅建業法 — 不動産仲介業(最長1年)
- 金融商品取引法 — 証券業務(最長6ヶ月)
影響: 売上ゼロ期間が発生 → 多くの事業者で実質的廃業に追い込まれる重い処分。
業務停止命令の特徴:
- 処分後3年間は再度許可申請しても審査が厳しい
- 役員も別会社で同種事業の許可を取りにくくなる
- 暴排条例上の「不適格事業者」として認定されることが多い
4. 勧告・指示
定義: 違反の改善を「勧める」「指示する」もの。措置命令より軽い。
主な根拠法: ほぼ全業法。
違反した場合: 措置命令・業務停止命令にエスカレートする。
影響: 中程度。社名公表されることが多いが、措置命令ほど重くない。
5. 排除措置命令(独占禁止法)
定義: 公正取引委員会が独占禁止法違反(カルテル・談合・私的独占等)を行った事業者に対して下す。
命令内容:
- 違反行為の差し止め
- 取引相手への通知
- 再発防止策(コンプライアンス体制強化)
影響: 課徴金と並行して下されることが多い。談合事案では公共工事の指名停止につながる。
6. 告発(刑事手続きへの移行)
定義: 行政手続きを越えて、刑事処罰を求めて検察に告発する。
主な根拠法:
- 独占禁止法 — 悪質なカルテル・談合
- 金融商品取引法 — インサイダー取引・有報虚偽記載
- 租税法令 — 脱税
- 薬機法 — 重大な健康被害事案
影響: 役員の刑事責任、会社の罰金、上場廃止リスク。最も重い。
7. 許可取消し・登録取消し
定義: 事業に必要な許可・登録を剥奪する処分。
主な対象事業: 宅建業・建設業・古物商・金融業・薬局など、許認可制の業界。
影響: 該当事業の継続が不可能になる。実質的廃業。
8. 処分の重さ比較表
| 処分種別 | 公表 | 経済的影響 | 事業継続 |
|---|---|---|---|
| 勧告・指示 | あり | 小 | 可 |
| 措置命令 | あり(プレスリリース) | 中 | 可 |
| 課徴金納付命令 | あり | 大(金額次第) | 可 |
| 業務停止命令 | あり | 極大 | 期間中不可 |
| 許可取消し | あり | 極大 | 不可 |
| 告発 | あり | 極大 | 役員刑事責任 |
9. RegBase で各処分種別を絞り込む
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